この 10 年で最重要となるゲストニーズ


ホスピタリティ業界では、10 年ごとに「これまで過小評価していたゲストニーズ」が顕在化します。1990 年代は禁煙、
2000 年代は Wi-Fi、2010 年代はサステナビリティでした。そして 2026 年、Phocuswright は米国・英国・フラ
ンスの旅行者 1,082 名への調査を通じ、次の重要テーマがすでに到来していることを示しました。それがトコジラミ安
全対策です。

2026 年の Phocuswright 調査によると、トコジラミ安全対策は、施設管理上の懸念事項から、旅行者がホテル
を予約する際に最も多く挙げる不安要素へと変化しています。米国、英国、フランスでは、清潔さ、価格、スタッフ対
応を上回る懸念事項として位置づけられています。本ブリーフィングでは、この問題が「予約判断に影響を与える要
素」へと変化した背景にある 3 つの要因を整理するとともに、ホテルが認証を取得した際に、商業的反応データがど
のように変化するかを示しています。
需要はすでに存在している — しかもオンライン上で不可視に進行している
変化 1:害虫問題は、2026 年における最大の予約時懸念事項となった
最初の変化は予約データそのものに現れています。3 つの主要市場で実施された Phocuswright 調査では、下記
の通りトコジラミを中心とする害虫問題が、ホテル選択時における最大の懸念事項となりました。

変化 2:約 70%の旅行者が予約前に衛生状態やトコジラミ評判を確認している
2 つ目の変化は、旅行者がホテル側の対応を待たず、自ら情報確認を行っている点です。約 7 割の旅行者が、予
約前にトコジラミ関連情報を調査しています。

AI レイヤー
旅行者の情報収集方法にも、並行して大きな変化が起きています。Global Rescue の四半期旅行
者調査によると、旅行計画に AI を利用する割合は、わずか 9 か月(2024 年 10 月〜2025 年 7
月)で 11%から 24%へと倍増しました。この普及速度は、同時期におけるモバイル予約やオンラインレ
ビューの普及曲線を上回っています。
Adyen の 2025 年ホスピタリティレポートでは、現在、旅行者の 3 人に 1 人が AI を利用して旅行予
約を行っていることが示されています。また、Booking.com の「Global AI Sentiment Report」
(n=37,325)は、この変化がすでに転換点を超えたことを裏付けています。AI アシスタントは、旅行
情報源として、旅行ブロガーやインフルエンサー以上に信頼される存在になりつつあります。
この変化は、トコジラミ安全対策にも直接関係しています。AI 予約エージェントは、旅行者がホテル詳
細ページを見る前に、レビュー内容や検証可能な施設属性を要約して提示します。最近のレビューにト
コジラミ被害への言及があり、かつ機械可読な安全認証を持たないホテルは、AI システムが自信を持っ
て推奨できないホテルになります。つまり、この“評価上のペナルティ”は、予約エンジンよりさらに上位のレ
イヤーで、すでに現在進行形で適用されているのです。
変化 3:約 50%の旅行者は最近トコジラミ被害レビューのあるホテルを予約しない
3 つ目の変化は、調査によって問題が見つかった際の影響です。調査対象者の約半数が、トコジラミ被害レビューの
あるホテルを予約しないと回答しました。

一度ネガティブシグナルが発生すると、それを消すことはできません。レビューサイトは古い情報を消去せず、2023 年
のレビューも最新レビューと並列表示されます。
2026 年、トコジラミ安全対策は客室設備における最重要な項目となった
需要が顕在化した今、次に重要なのは旅行者がどのように行動するかです。
同じ Phocuswright 調査では、旅行者に対して 14 種類の一般的なホテル設備について、「必要」「あれば
嬉しい」「不要」のいずれかで評価してもらいました。その結果、「トコジラミ安全保証付き客室」は、英国とフラン
スで第 1 位、米国でもエアコン付き客室に次ぐ第 2 位となりました。この項目は、Wi-Fi、禁煙ルーム、そして
上位 4 項目以外のあらゆるホスピタリティ投資項目を上回る評価を得ています。現在は一つの“設備属性”に
見えるものが、将来的には業界標準となる可能性を示しているのです。


※注目すべき点として、トップ 10 圏外には「室内金庫」「無料客室アップグレード」「客室内ミニバー」が含まれていま
した。これらは、ホテル業界において最も一般的なロイヤルティ施策やプレミアム感を演出する設備の一つです。
つまり、多くのホテルは、旅行者が追加料金を支払わなくても求めている“安全保証”よりも低い優先順位にある設
備に対して、在庫を整備・維持し続けていることになります。
検証可能なトコジラミ安全認証が既存需要を取り込む
Valpas は、トコジラミ安全対策がすでに実施されていることをリアルタイムで保証・検証します。現在、60 以上
の都市・地域、30,000 室以上が Valpas インフラ上で運用されており、マリオットやアマンといったホテルオペ
レーター、Aroundtown や Covivio といったオーナー企業も導入しています。認証取得済みホテルは、AI 予
約画面、OTA フィルター、企業向け調達システムに直接表示されます。これら 3 つのレイヤーは、すでに「トコジ
ラミ安全対策」がホテル選定の必須条件(gating criterion)となっている領域です。
オポチュニティ:認証はブランド乗り換え・再訪・新規利用を促進し、否定的反応はほぼ存在しない
行動データは、この施策が商業面で大きな効果を持つことを示しています。旅行者に対して、「認証取得ホテ
ル」と「普段利用しているお気に入りブランド」のどちらを選ぶかを尋ねたところ、10 人中 7 人が、認証取得ホテ
ルを選ぶために普段のブランドを離れると回答しました。また、すでに利用経験のあるブランドについて、「認証取
得済みホテル」であれば、10 人中 8 人が再訪可能性が高まると回答しました。
さらに、これまで利用したことのないブランドについても、4 人中 3 人が、「認証取得済みであれば試してみたい」
と回答しています。つまり、「認証」という形で事前に安心感を提供することに対して、いずれの市場でもネガティ
ブな反応はほとんど見られなかったのです。


すでに ChatGPT などの AI システム内で予約対象になっている
Valpas Hotels は、旅行者からのリアルタイムな問い合わせに応じて、ChatGPT 内に直接表示されます。こ
れは、トコジラミ安全対策が、ホテル推薦における重要な選定条件(gating criterion)となっているレイ
ヤーそのものです。(詳細は、元のブリーフィング PDF 内のスクリーンショット参照)







